雨天決行

傘を持って外に出よう by山形みらい

ハートカクテル

大人になったら自分もそうなれると信じてた。


わたせせいぞうさんの絵が大好きで、京都へ。
美術館「えき」KYOTOで開かれた、わたせせいぞうの世界展。
すごく良かった。好きな絵を間近で見られる幸せな時間。


物心付いた時に自分の目に飛び込んできた絵がハートカクテルの表紙だったの。
子どもの頃、ドキドキしながら表紙をめくった。
大人になったら自分はハートカクテルみたいになりたいと思った。
カクテルが好きなのも、ネクタイが好きなのも、車が好きなのも、子どもの頃に見たハートカクテルの影響をとても受けている気がする。


理想の男性というのは特にはないのだけれど、私の心の中に描かれている世界には、わたせワールドが広がっているのかも知れない。
青い空、赤いオープンカー、海、ネクタイにジャケットの似合う男性。台詞は少しキザなくらいがちょうどいい。
さりげない優しさ、何気ないしぐさ。失恋したら引きずってしまう男性のせつなさ。
でも、そういう部分も好き。
あの作品に出てくる男性…それは多分、私にとって永遠の憧れ。


クローゼットには23本のネクタイ。
僕はタイピンやタイタックを持っていない。
ネクタイに穴を開けたり傷をつけたりしたくない。
ネクタイ達の悲鳴が聞こえてきそうだから。
だから僕のネクタイは風に自由。
ハートカクテルVol.27ネクタイに関する4ページより)
この話はとても好き。


私はネクタイを男性にプレゼントするのが好きで、気づいたらついネクタイを選んでいたりするのです。
きゅっと結んだネクタイも好きだけれど、風が吹いて肩にかかってしまったネクタイ、そういう男性の後姿はちょっと好きかも。
そして自分もネクタイをするのが好きだから、ついネクタイを集めてしまう。
私のクローゼットには一体、何本のネクタイがあるのでしょうね。


シンデレラエクスプレスは見送られるより、見送るほうが辛い。
だから帰ってしまう人を見送るのはとてつもなく寂しくせつない。
見送られる側にいた自分が、見送る側になって初めて気づいたそういう気持ち。
これってハートカクテルの世界に通じてる?



そんな事を考えながら、わたせさんの作品に思いを巡らせるロマンティックな午後のティータイム。