雨天決行

傘を持って外に出よう by山形みらい

僕が出来なかった事を彼に託すよ。

元気にしていますか?あなたが日本を離れてから早いもので2年が経つのですね。
出会ってから一度もけんかした事がなくて、あなたは私にとても優しかった。私がわがままを言っても黙って話を聞いてくれた。
長期間の出張から帰ってきたあなたは、疲れているはずなのに、「明日は雨が降りそうだから、朝、大学まで送っていくよ。」なんて、優しすぎるよ。
休日になるといつも私と一緒に居てくれたよね。あなたはドライブが好きで、私を色んなところに連れて行ってくれた。


ねぇ、覚えてる?私が大学生活が馴染めなくて落ち込んで、「大学には行きたくない。」と言った時、「今から信州にドライブへ行こう。」と誘ってくれた日の事を。
私、初めて高速道路から夜の諏訪湖の夜景を見たの。途中で寄ったサービスエリアでずっと二人で景色を眺めていたよね。このまま時間が止まればいいのに。と何度も思った。あなたにずっと私の側に居て欲しかったから。
私が、「少し寒いね。」と言ったら、何も言わずに温かいココアを買ってきてくれたよね。とても嬉しかった。体だけじゃない、心も温かくなったよ。


ふとした時に見せるあなたの表情は寂しそうだった。そんな表情をあなたは普段、私に対してあまり見せないから、実はとても心配をしていたの。
それと同時になんとなく近い未来に起こる『予感』を感じてしまった。
私と会う度に顔色が良くないあなたの姿を見て、さすがの私も、「どこか具合が悪いの?」と聞いた。それでもあなたは私に、「大丈夫だよ。」と言ってくれた。
その後、「君の悲しむ顔を見るのは辛いから今は言えない。ごめん。」と言われてしまった。


あなたがフランスに旅立つ1ヶ月前、とても胸騒ぎがしたんだ。「今日は予感が的中してしまうかもしれない。」そう思ったら怖くて逃げ出したくなった。
茶店の丸いテーブルで、紅茶のカップにに手をかけたまま俯いている私にあなたはこう言った。
「僕はもうそんなに長くは無い。だから残りの人生をフランスで過ごしたい。」
私の頭の中が真っ白になった。
私も一緒に行きたいと願ったけれど、あなたは私と一緒にフランスへ来て欲しいとは言ってくれなかった。
私が飛行機の苦手なのを知っていたし、何より日本を愛している事も知っていたから。
私が困った顔をしていたら、あなたは私に、「幸せにしてあげられなくてごめん。」と言った。
涙が溢れて止まらなかった。


でもね、私の大事な人がフランスで過ごしたいと言っているの。これを引き止めてしまったら私はきっと後悔をするだろう。そう思ったから、帰宅後、あなたにメールをしたよね。
「あなたが私にプレゼントしてくれた沢山の思い出。わがままな私に付き合ってくれたあなた。今度は私がしてあげる番だね。私からの精一杯のプレゼントをどうか受け取ってください。」
後日会った時のあなたの表情は明るくて、少し照れくさそうに微笑みながら私に、「ありがとう。」と言ってくれた。


それから暫くしてあなたは私に、「紹介したい人が居る。」と言って『ある方』を連れてきてくれた。
そしてあなたは私にこう言ったの。


「僕が出来なかった事を彼に託すよ。君には幸せになって欲しい。」


彼を紹介された時は内心複雑だったけれど、あなたが見込んだ通りの人。彼は優しくて素敵だよ。
今、私はとても幸せです。だから彼を大切にしたいと思っている。これからもずっと。


ありがとう。あなたの事、本当に大好きだったよ。
どうかいつまでも元気で居てね。


親愛なる ブルーバード氏へ 
チェリー より


私がブルーバードと離れてからもう2年が経ちました。
本当に大好きな車でした。
時々NissanFaceBookを読ませて頂いているのですが、先日ダットサンの写真を見ていたら彼との思い出を綴ってみたくなってね。


脚色してありますが(なにぶん、相手が車なものですから^^;)割と事実に基づいていると思います(笑)
ディーラーさんの話をコッソリ耳に挟んだ情報によると、ブルーバード氏はフランスにいるみたいですよ。元気にしているといいな。


もし、フランスで彼を見かけたら誰か伝えて。
私はシルフィと幸せでいる。と。


先月シルフィの車検が無事終わりました。
外からではわからない体の不調。実は整備士さんにはよく見えているのですよね。
不調な部分は車検でしっかりと直して頂きましたよ。


自分の中ではすごくすごーく大事にしているつもりなのですが、「長距離乗るとどうしても少しずつ悪くなってきますよ。」と整備士さんに言われました。
次回は法定12ヶ月点検に出すよ。これからもずっと大事にするからね。シルフィ。